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り交わす必要はなく、一定の書式に基づいて寄付を申請するだけでよい。また課税の免除額も同じである。ただし、収益分割契約による寄付との違いは、会社に利益に合わせて寄付額を訂正することができないことであり、したがって税額の還付やチャリティからの返金を求めることはできない。
VATについては、チャリティの活動が事業と認定される場合には課税されるが、事業と認定されない場合には課税されない。この区分については詳細にわたるため、ここでは割愛したい10)。

 

(6) チャリティ委員会
チャリティ委員会の基本的な役割は、「チャリティの組織運営(アドミニストレーション)の改善を図り、チャリティと影響を及ぼすことがらの情報と助言をチャリティのトラスティに提供し、不正を調査・統制することによって、チャリティに提供された資源の有効利用を促進することである」と1993年のチャリティ法には規定されている11)。
最近における重要な展開はコンピュータ化が実施されたことである。このコンピュータ化されたデータは一般に公開されており、登録されたチャリティの財政と活動の状況を正確に提供できる有効な手段となっている。前述のように、1996年3月1日より、収入あるいは支出が1万ポンド以上の登録されたチャリティはその会計報告書と年次報告書を委員会に提出することが義務づけられているが、このことにより委員会は個別のチャリティに関する財政状況を知ることができ、したがって必要な助言を提供することができることになった。すなわち、不正や濫用が行われている場合には、迅速な是正措置を講じることが以前に比べて容易にできるようになった。
また委員会は、ボランタリー・セクター全体の向上のために、一般市民の信頼を確保・維持することが必要であり、また寄付を含むチャリティの財源が効率的に用いられていることを明らかにする必要がある。そのためには、委員会はチャリティを支援し、促進し、場合によって保護することが求められている。支援策としては、個々のチャリティに対して法的な問題や管理運営上の問題についての助言・協力を提供すること、組織運営の改善策を検討すること、権限外の活動を承認することなどが含まれる、さらには、トラスティの能力やチャリティの管理水準を高めることも含まれる。
さらに委員会は、中央省庁とEUに対してボランタリー・セクターの利益を代表するという役割もある。内務省と協力して1993年のチャリティ法を立案したことなど、チャリタ

 

 

 

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